鼻先を首筋に埋め舌で存分に慈しんだ。鎖骨へと滑らせ啄むように愛おしめば組み敷いた身体が面白いように跳ねた。
 ああ、と熱い溜息を零し劉備が身を捩る。気持ち良いのか、という趣旨のことをあけすけに聞けば恥入るように目を伏せ唇を噛みしめた。その仕草が可愛らしくて堪らず関羽は着物の襟元にせわしく掌を差し入れた。平らな胸板を乱暴にまさぐる、無骨な手指。うっすらと掻いた汗の所為でぺたりと肌が吸い付いてくる。そのまま薄っぺらい腹まで下がっていき未練がましく縋り付いていた腰帯を解いてやった。引き抜き、着物の前を開くと日に焼けていない隠された場所まで全て露わになった。細く長い手足。薄い腹や胸板。赤い灯火の下でくっきりとそのいとけなさを浮き上がらせていた。
 下に目をやると性器が薄い陰毛の中でひっそりと半勃ちになっていた。欲望に忠実な若い性。淡い色をした初々しい茎。その愛らしい佇まいを味わおうとじっと視線を注ぐ。熱い眼差しに貫かれ劉備は背筋にぞくぞくとするものを感じた。恥部を晒され眺め回され、その部分にばかり意識がいってしまう。熱いものがまた中心に集まり始める。
 はやく、はやく。ねだるように腰を突き上げる動きをする。それに気付き関羽が馬鹿にしたように短く笑った。そんな嘲笑さえ身に心地よく劉備は眉根を寄せながら無意識にお願い、お願い、と繰り返す。応えて再び覆い被さってくる大きな体。露わになった胸の片側に鼻を擦り付けるようにされくすぐったくなる。
 すぐ顎の下にある頭に無意識に顔を傾ける。油か何かだろうか、整髪料の香りがむっと鼻腔に上りがくんと意識が遠のいた。よく知った香り。中年男特有の逞しさ荒々しさ、そして包み込む広さを胸の奥底まで感じた。興奮に身が焼き切れそうだった。とろけた意識の中、不意にぴりと刺激を感じて劉備は背を反らせた。胸の突起部分に歯が当てられていた。

「……ひゃっ! あ、あっ、ちょっと、ま…待って、あ……! 」
 肉厚な舌が優しく舐め回す。乳輪を円を描くようになぞったり先端を押しつぶすようにこね回したり。空いた右手で反対の胸の面倒も見る。親指の腹で焦らすように擦り時折挟み込んで引っ張ってやる。
「かん、う、これ……ん、すごい、すごいよ……! 」
 胸を突き出すよう反らせ恍惚とした表情で言う。関羽は黙々と唾液まみれの乳首をしゃぶる。米粒のようにぴんと勃った乳頭を舌の上で転がすと不思議と甘い味がするので、無我夢中のまま舐め吸った。肌に顎髭や口髭が針で刺すように当たり更に性感が震え沸き立つ。劉備は切なさに泣きそうになる。胸の刺激が直接下腹部へと伝わっていくおかしさに狼狽え、恐怖さえ感じ始める。
「あぁあ…なんだろこれ、すごい、けどなんか、変な感じ……! あ、あ…どうしよう、乳首だけでイっちゃうかも、どうしよう……」
「嫌ならやめてもいいんだぞ」
 出し抜けに顔を上げ関羽が冷たく言い放つ。塗れ光る突起を指先で弄びつつじとりと劉備を睨め付ける。
「もうやめるか? 」
 しまった。せっかくがんばってその気にさせたのに、これじゃ水の泡だ。どうしよう、どうしよう! 激しくかぶりを振り劉備が喚く。
「ご、ごめん! 嫌ってわけじゃないんだ…ほんとに、そうじゃないんだ、信じてよ……! 」
 むすっとした顔を崩さない義弟に慌てふためき、ほとんど泣き声で懇願する。震える声が心地よく耳に届き関羽は背筋をぞくぞくとさせる。
「ほんとだよ…君の舌べろがすっごく気持ちよくて、それでちょっとへ、変な気分になっちゃっただけなんだよう……。だ、だからお願い、もっとして、きもちーの、もっとしてぇ……」
 眉をこれでもかというほど歪ませしゃくりあげる。その惨めな姿を見下ろして関羽はふっと息を吐く。
 ぴしり、小さな音が響く。
「あいたた! な、なに? 」
「まったく、本当にどうしようもない馬鹿だなお前……」
 打たれた額を押さえぽかんと口を開ける劉備に関羽は少しだけ和らいだ顔を見せた。
「今更やめられるわけないだろうが」
 ぼそりと呟き再び白い胸元に顔を埋めた。
 何が起こっているのかまだよく飲み込めない劉備はぼんやりと天井を見つめされるがままに任せている。あれ? なんで急に機嫌直したんだろう。ぼく何かしたっけ?
 反対の胸に舌先が延びてきて休むに似たりな思考は見事にぶち切られた。大きく喘ぎ、仰け反り蕩けた頭でただ快感だけを追う。
 久々の性行為にいやが上にも興奮が募る。それは互いに同じことだった。獣の如く息を荒げ身を重ね合う浅ましさ、醜さ。誰にも見られていない今ならなんの謗りも与えられることはないのだから、更に更に野蛮になる。
 肉のない腹を伝って舌が陰部へと這い降りる。腹の上にこびりついた乾きかけの精を舐めとり綺麗にしてやればその感触に劉備は全身を震わせた。両足を腕で抱え込み開かせ間に顔を埋める。茂みに舌が絡まる。ざりざりと撫でられ下腹部が跳ねる。性器に触られる感覚。頭を僅かに持ち上げ自分のまたぐらの様子を見てみる。腿の付け根を這い回る深紅の舌、茎に絡みつく太く浅黒い指先。握り込まれ上下に擦られ、ぐねぐねと踊る様が妙に生々しい。どさりと頭を枕に沈め腕で顔を覆った。ううう、と小さな呻きが漏れる。息吐く暇もなく、ぬるりと包み込まれる感触。あっと声を上げ目を見開いた。小振りな性器が根本まで、男の口内にたやすく飲み込まれていた。分厚い唇で挟み込まれ強く扱かれるのに合わせ 劉備は身も世もなく喘ぐ。
「……っう、う、あっ、は…はぁ、あ、あ、あぁ、だめ、むり…ぁ……」
 根本を輪にした指で擦られ、亀頭は舌先で執拗に嬲られる。時折根本をぎゅ、と握られイくにイけない状態を無理強いされる。先を割り開くように食い込んでくる舌。熱くぬめる粘膜。じゅ、と強く吸われた。腰が浮き立つ。今すぐにでも発射してしまいそうだった。が、付け根を絞られそれも叶わない。
 ああ、だめ、だめだ。もう、もう……。
 いやだ、と言いかけて慌てて口を噤んだ。いやだ、なんてそんな。そっと部下の顔を窺い息を潜める。
 だめだ。我慢しなきゃ、だめだ。いい子にしてなきゃ、今よりもっと嫌われてしまう。また見捨てられる。置いてかれる。独りになる。そんなの嫌だ、絶対に嫌だ!
 口を掌で覆い、声を堪える。身体はがくがくと戦慄き、目はおかしいほどに左右をうろつく。
 関羽は迸る甘露をじっくりと味わっていた。可愛らしい茎を丁寧に愛し、溢れる極上の蜜で喉を潤す。
 兄者、なんと可愛らしいことか。男の愛撫に身をこんなに震わせて感じ入っている。初々しい仕草。いつまでも慣れない、この生娘のような性質。たまらん。ちゅぽんと口を離し滴る唾液を手で拭うと肝心の主君の尋常ではない様子には気にも留めずに衣をいそいそと脱ぎ始める。
「待ってろ、すぐもっと善くしてやるからな」
 欲に掠れた声を出しながら衣を丸めてぞんざいに床へ放った。がばりと股間へ顔を埋め、焦るように両の足を割り開く。足の間、堅く閉じた場所が露わになる。収縮するその奥に、淡い肉の色が見え隠れしていた。ぐいと尻肉を左右に押し広げると穴は無惨に形を変えた。綺麗な紅色がよく見えた。指先で柔らかく押しながら関羽は独り言のように零す。
「妙に綺麗だ」
 訝り主を問いつめる。目には好色な光。その光に当てられ君主は怖ず怖ずと言葉を返す。
「あ、あの、さっきここに来る前に、その、お風呂で……」
 さっと顔を薄桃に染めまた口を掌で覆う。あまりの羞恥に目元が赤くなっている。
 関羽は仮にも高貴な人間である男が風呂場でこっそり肛門を洗浄、あるいはその延長として自慰をしている様を思い浮かべ唾を飲んだ。やはり最初からその気だったんだな。何も知らない顔してとんだ好き者が。まあ、この落差がまた堪らないのだが。
 ぶつりと、押しつけた指が第二関節まで簡単に潜り込んだ。堅いのは入り口だけ。中は柔く開き始めている。
「うわ、あっ、はあ…あぁあ……」
「我慢しろ」
 両の人差し指をねじ込み横に引く。ぽっかりと空いた空洞。呼吸に合わせ緩く顫動する粘膜。喉を鳴らし凝視する。覗く赤い肉。ぐいと指を引いたり戻したりするに従ってくちくちと小さく音が鳴る。眼下には足を広げ身悶える主。色々な物に当てられていやな汗が噴き出る。心臓が肥大したように熱くうるさく脈打つ。自然、体が傾き舌先がちろちろと動いていた。ぺたりと、濡れた音と共に張り付いた舌。
「ひっ! い、あ、ぁ…っく、うぅ…う……! 」
 押さえつけられた下半身を無茶苦茶に捻り淫らな意識を孕む舌から逃れようとする。が、あえなく腕に絡めとられ股の間からぎろりと睨み付けられた。顔をひきつらせぐったり全身の力を抜く。しかし執拗な愛撫は容赦なく続けられ、舌が入り口を掠める度ひくりひくりと腿が跳ねる。じっとりと、水分を含んだ厚い肉が浅い部分を犯していく。いやだ。くいくいと器用に動き襞を押し広げてくる異物。気持ち悪い。ぎしぎしと鳴るほど歯を食いしばり眉間に皺を寄せ唸る。気を抜けば涙まで零れてしまいそうだった。絹を握り締め堪える。だめだ。ここでやめたら関羽は、関羽の心はもう二度とぼくの元に帰ってこなくなる。ただでさえ細い繋がりは一瞬で断ち切られ、きっとまたひとりぼっち。そんなことになったら、ぼくは……。
「あ、あっ…かんう、もっと…もっとぉ…お、おねがい…もっと……! 」
 甘ったるい声を出ししきりに腰を振る。顔を真っ赤に染めながら股間で揺れる男の髪を掴み押しつけるようにぐいぐいと。
 やっぱりただの変態か。関羽は内心で小馬鹿にしながらもその痴態に興奮を煽られずにはいられない。
 唾液を塗り込め結合の準備を進める。節くれ立った指を挿入し乱暴にかき混ぜぬめりが十分でなくなるとまた舌先を突き入れ舐り回した。入り口全体に唇を当てじゅるじゅるとわざとらしい音を立てて吸ってやれば背をしならせ雄叫びを上げる。泣いても喚いても終わらない、地獄のような時。容赦なく開かれる体内。仕上げに充血した内側をねじ込んだ二本の指でぐるりと撫でる。熟れた肉がぬるりとまとわりついてきて関羽は感嘆の溜息を吐いた。さっと引き抜き、力無く四肢を広げ息を浅くしている主君を眺め見る。
「おい、いつまでぼさっとしてんだ、こら」
 頬をぴしぴしと叩かれ目を瞬かせる劉備。
「…ん、何。もう終わり……? 」
「あ? 何言ってんだ、お前」
 顎を掴んで持ち上げられ、息苦しさに喘いだ。その苦痛の表情を間近から覗き込み関羽がさらりと吐き捨てる。
「次はお前の番だろうが。わかったんならさっさとしゃぶれ」
 膝立ちになった男の厚い腹筋の下、濃く茂った黒草の中から一種グロテスクな様相の肉塊が天を突くように生えていた。
 全身からへなへなと力が抜けるのを感じながら劉備はただこくこくと頷くしかない。ソレをしないという選択肢などすでに存在しない。するはずもない。




 絹の上に悠々と横になり股間にある主の頭の天辺を眺めていた。
 両足の間で背中を丸め一心不乱に奉仕する主。体躯に似合った巨大な幹の半分ほどまでをやっとのことで口に納め、激しく頭を上下させる。口内を一杯にしているものを舌でぺっとりと舐め上げ時折ちゅうちゅう音を立てて吸った。根本も指先の緩急で刺激しつつ幹を舌先でつうとなぞる。握った根本をぐいと上に持ち上げその下にぶら下がった皮袋を舐め、口に含み、舌の上で転がした。舌の及ばぬ所のないよう熱心に、無心に男の物を頬張っている。
 熱く柔らかな粘膜に包まれ関羽は野獣の如き唸りを零し劉備に手を伸ばした。ほつれて額に張り付いていた髪を掬い後ろに撫で付けてやりそのまま頭の側面に手を添えた。探るようにぴくりぴくりと動く指先。目を細め劉備はじゃれつくように頭を擦り寄せる。亀頭の先を舌でちろちろと愛でつつ自然とご機嫌窺いの上目遣い。黒く丸い瞳が純粋に見上げてくる。口には性器を一杯に頬張りじゅるじゅると淫猥な音までさせているというのに。
 直も見つめてくる底無しの黒。体の底がぶるりと震え無意識に「もう、いい」と零していた。
 離した口から透明な糸が細く引かれ、やがて呆気なくぷつりと切れた。起き上がり口の端に垂れた唾液を手の甲で拭った。
「関羽の、やっぱりでっかいね。顎が疲れちゃった」
 真っ黒だしでっかいし、ぼくのと全然違うね。
 だらしなく緩んだ口元を更に歪め劉備は笑う。瞳は情欲のためというよりは何かの憂いのために潤んでいるように見えた。濡れた黒が渦を巻いていた。
 関羽は主のひきつった笑みに返し言葉少なに次の指示を出した。跨って自分で入れろ、と粗暴な態度で言い放たれ劉備は力無く頷いた。すぐさま足をがに股に開き男の腹の上に跨ると結合できる位置まで慎重に身体を持っていく。根本を握り上を向かせる。腰をのろのろと下ろす。途中で止まりまた位置取りを定め直す。だらだらと汗が吹き出る。ぴたりと付いた先端が尻の上を滑った。再び浮き上がる腰。おっかなびっくりのその態度に焦れた関羽が睨む。
 これはみんなお前がやりたいと言ったからわざわざやってやってるんだ。言い出しっぺが及び腰とは興醒めだ。別にこっちはいつやめたって構わないんだぞ。わかってるのか。
 ぎらりと光る瞳だけで全てを物語っていた。殺気をはらんでいるとさえ言える鬼面に劉備は泣き出しそうな顔で笑った。ごめん、ごめんなさい。謝罪の言葉を呟き改めて自分の股の間に目を向けた。亀頭の下部を指で支え持ち見えない部分に導いていく。片膝を突き限界まで足を広げる。先が当たった。人肌の熱い感触。先走りを塗り込めるように上下に擦ってみれば散々いじられた場所が待ちかまえていたようにぱくりと開いた、ような気がした。腰を落とす。太った先端部が容易く飲み込まれる。部下の厚い胸板に手を突き後は体重をかけて納めていく。丸木のような竿が肉を割ってずぶずぶと埋まっていく。入り口の切れるような痛みに悲鳴を噛み殺しながら器用に尻を振って根本まで収めた。
 ぴたりと重なった下半身。蛙のように開かれた足。間で反り返り涙を流しているものと生々しい結合部がよく見えた。関羽は絡み付く粘膜の生暖かさに息を荒くする。今すぐ中を滅茶苦茶に引っかき回してやりたかった。腰を突き上げ性感を嫌と言うほど抉り、泣いて「許して」と請うまで虐め抜いてやりたかった。苦痛と快楽に喚き、涙を流す主の姿はさぞかし見応えがありかつ扇情的なものであろう。自分はそれを知っている。しかし。
 関羽は低く掠れた声を漏らした。劉備は聞こえるか聞こえないかのその声の言う所を理解し眉間に皺を寄せた。目を泳がせてから意を決したように男の堅い腹筋に両手を置いた。僅かに腰を浮かせる。ずるりと竿が抜けこみ上げる排泄感に身震いする。再びゆっくりと腰を落としていく。息を吐き体内を奥の奥まで満たすものに感じ入る。

 入れてはいけない場所に他人のものを入れる快感。教えてくれたのは確かこの男だったように思う。
 初めて出会ってから幾日か経ったある時、我慢できずに二人で身体を貪り合ったのをよく覚えている。仲間達に隠れ、臥所にもつれ合うようにしてなだれ込んだ。戦続きで性欲が溜まっていたとか、大酒を飲んで酔っぱらっていたとかいくらでも言い訳はできた。でも、なんとなく身体を繋げてしまった、それが今でも少し後ろめたかった。
 行為によって情が湧いたのか、力も何も持たない自分には不釣り合いな程の豪傑が今ではなんと右腕だ。未だに信じられない気持ちだった。どうして仲間になってくれたんだろう。いつでも疑いが心から離れず健全な意識を蝕んでいった。どうしてぼくなんかに? こんな情けない奴なのに。やっぱりエッチなことするのが好きなだけなんだろうか。そういう趣味なのか。
 初めて会った頃の自分は年も二十を越えておらず、言うならばまだ子供の身体だった。彼の趣味に良く合っていたのか、執拗に行為を迫られ多いときには毎晩、屋敷の寝室だろうと戦場のど真ん中の宿営地だろうと構わず嬲り者にされた。鬼の形相で一言凄まれれば嫌とは言えず、恐ろしさにぶるぶる震えながら堅い尻を犯され続けた。泣いても許してもらえるどころか更に行為は激しさを増し、ある時など天幕から外に引きずり出され陣営の中を繋がったまま歩かされた。遠巻きに隠れた大勢の部下達に見物されているのがすぐわかり気が狂いそうになった。いやだ、いやだ! 星の下で後ろに男を銜えたまま泣き叫ぶ君主の姿など奴らにとってはただの面白い催し物に過ぎなかった。その日以降部下達の態度があからさまに悪いものになった。侮蔑的な視線や嘲笑、明らかに主君を軽んじる言動。数年経った今でもそれは変わらない。
 しかし、関羽は変わった。時間を経るにつれだんだんと自分に興味をなくしていくのがよくわかった。性交に及ぶ頻度も徐々に減り、今では彼から誘ってくることすらなくなっていた。自分が成長してしまい彼の嗜好に合わなくなったからかもしれない、と思った。彼は無骨な見た目に依らず可愛らしい物が好きだから、きっと大人の男には余り興味がないのだろう。それでも、今も側にいてくれるのはきっとそれ以上にぼくに対する情があるからだと、思いたかった。がんばって彼の満足するようなエッチができればまた自分を見てくれるかもしれない。それだけが今ぼくをこの異常な行為に駆り立てる全てだった。
 そうだからこそ、跨って腰を振れと命じられれば、喜んでそれに従うのだ。

「あ、あ…すごッ、すごい……これ、いい…きもちい、あ、ぁ……! 」
 がに股のまま激しく尻を上下させ男の物を扱いた。恥ずかしげもなく振りしだかれる中心に黒い物が凄まじい早さで出入りを繰り返す。屈伸運動をひたすら繰り返しているとまるで人の体を使って自慰をしているような気にさせられ甘い背徳の快がじわりと下半身から広がった。気持ちいい、たまらない。反った先端部が敏感な部分を掠め、擦り上げ劉備は悲鳴と共に天を仰いだ。暗い天井を見つめ、だらしなく開いた口からは涎をたらたらと垂れ流す。形を確かめるようにぎゅうと締め付けがむしゃらに腰を動かす。
「やればできんじゃねぇか。出し惜しみしてんじゃねーぞ」
 戯れに尻をぴしゃぴしゃ叩かれた。それだけでも何か感じるのか、喉を震わせながら一層強く幹を締め上げる。
「だめッ…ひゃ、め……たたいちゃ、だ、め……! 」
「あー…しっかしよく締まる尻だな、おい……」
「あぁ…あー、っい、はぁ…あ、あぁ、あ…ん、う、ぅ……」
 太股を撫でさすりつつ関羽は熱い息を吐き続ける。ぴくりとも動かずただされるに任せじっくりと君主の恥ずかしい姿を観察する。開いた足の間で可愛らしい性器が揺れその真下には女の腕ほどの物が杭の如く突き刺さっていた。抽出に合わせぶちゅぶちゅと粘着質な音を奏でる局部。異様な景色に心が浮き立った。細長い身体を懸命に動かし、幼い顔を快感に歪める主。昔のように何も知らない少年にあれこれ教え込むのも面白かったが性欲の一層強くなった青年を快楽地獄に引きずり込むというのも悪くはない。新しい愉しみに心の内で一人にやける。
 もうダメ、もうダメと切羽詰まったように劉備が叫び始めた。体を仰け反らせ後ろに手を突き滅茶苦茶に下半身を揺す振った。回すように腰を動かし感じる部分をなんとか刺激しようと躍起になっている。
 ああ、そう言えば。腰を掴み支えてやりながら思う。こういう時にどう動くかというのも教えてやったのは自分だったっけ。なんだ、ということはさっきまでこいつが自分にしてきた積極的な振る舞いも全て教えてやったことに忠実に従った結果だったということか。そうだったなら、邪険に扱ってすまないことをしたな。気の弱いこいつのことだから拒絶されたことできっと身も裂かれんばかりに傷ついているに違いない。可哀想に。大人げなくも一時の感情に流されて主君を蔑ろにした私をお許しください、兄者。これからは寂しくないよういくらでも可愛がってさしあげましょう。
「…あ、えっ? なに、なにこれ…そんな、いきなりっ……ダメ、ダメだよ、ダメだ、ってば、ぁ……! 」
 前触れなく突き上げられ好き勝手に内部を抉られ泣き声を上げる。
「兄者、兄者……」
「…やっ、ダメ、ムリ…っひ、くるし……やだ、いやだぁ……! 」
 腰を押さえつけひたすら打ち込んでやる。楔を穿つように、深く、強く。泣いても喚いてもやめるつもりはない。肉のぶつかり合う音が激しくなる。白濁した粘液を溢れさせながら溶け合う結合部。
「……っう、ムリ、もうムリっ! イくぅ! イくイくイくイっちゃうよおぉおぉぉ!! 」
「兄者…! あぁ、くそっ! もう出すぞ、ちくしょう! 」
 ぐ、と背を丸め自分の物を激しく扱いた。性感を強く打たれるに合わせ断続的に精が飛ぶ。急速に狭まる中。一拍遅れて多量に吐き出される汚濁。内部の隅から隅までを汚す。獣染みた唸り。痙攣する肢体。がくりと上体を傾け覆い被さるように男の唇を貪った。汗のキツい香りを感じながら舌を絡め唾液を啜り合う。お願い、ぼくを見捨てないで。声を震わせ懇願する。もちろん、もちろん見捨てるなどいたしません。いや、できるはずがないのです。細身を掻き抱き息を詰まらせる。間近に聞こえる鼓動、愛おしいと今更思う。お慕い申し上げております、兄者。ぽつりとそれだけ呟いた。驚き顔を上げ相変わらずの無表情を見る。笑いと共に涙がこみ上げた。楽しげに声をくぐもらせながらただ流れ落ちる水で男の肩を濡らしていた。




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